歯周病治療の流れ

検査から治療のフローチャート

歯周病の治療は、以下のチャートの流れに沿って進めていきます。
歯周病は、ただ口腔内だけの問題ではありません。

歯周病の治療の決定には、患者さんの全身的健康の問題たとえば糖尿病などの問題がないか必要に応じて当院では医科歯科連携を行っており、歯周病治療に先立って提携先の病院に紹介することが出来ます。

また、生活習慣として喫煙などの歯周病の原因である細菌感染を助長させる習慣があるか、
歯垢の状態および歯垢を付き易くさせる解剖学的な問題があるか、
そして歯周病の進行を速める歯ぎしりなどの悪習慣やかみ合わせの問題があるかなど多角的に分析を行いながら治療計画を立案していきます。

ただ、歯医者さんに行って歯石を取るだけでは歯周病は治りません。
歯周病の発症・進行には様々な原因が絡み合っていて、
主な原因は細菌感染によって起こりますが一つ一つ歯周病に関連している原因を除去、あるいは改善する必要があります。

歯周基本治療

歯周病の原因因子およびリスクファクターを排除して、歯周組織の炎症を改善し、
その後の歯周治療の効果を高める基本的な原因除去治療である。
プラークコントロール、スケーリング、ルートプレーニング、プラークリテンションファクターの除去、咬合調整、暫間固定、抜歯などからなる。

歯周基本治療は、すべての歯周病患者に対して行うものであり、歯肉炎や軽度歯周炎の場合は、歯周基本治療だけで治癒することが多いです。

TBI

特に大事なのは、プラークコントロールになります。
歯周病治療の成功には、患者さん自身の日頃の歯磨きによるプラークコントロールがしっかりできることが必須になります。

当院では、歯周病の検査時には、位相差顕微鏡 および 唾液検査(有料)による細菌検査も行っておりますので、細菌の状態をモニタリングしながらプラークコントロールを行っていきます。

口腔清掃は、患者さんが歯ブラシで行うブラッシングが主体になりますが、
歯周病の重症度、治療時期、患者の技量や生活習慣に合わせて歯間ブラシ、デンタルフロスなどの歯間清掃用具や電動(回転、音波、超音波)歯ブラシの使用も必要になります。

スケーリング・ルートプレーニング

歯周ポケットに対する非外科的処置として、
超音波スケーラーまたは手用スケーラーを用いたスケーリング・ルートプレーニングがあり、
軽度から中等度歯周炎に対する標準的治療手段になります。

単根歯や根面形態、骨欠損形態が複雑でない症例では、必須の治療法です。

また、進行した根分岐部病変や複雑なあるいは深い骨縁下ポケットでは、外科治療の前処置として用いられます。

咬合性外傷に対する処置

歯周病が進行してくると歯の病的移動が認められ、咬み合わせが乱れてきます。
その乱れによって特定の歯に異常な咬む力が働いたり、
または歯周病が進行し動揺している歯では通常の咀嚼する力によっても歯を支えている歯周組織にダメージを与えてしまいます。

これを咬合性外傷といいます。

咬合性外傷に対する治療は、外傷性咬合(異常な咬みあわせ)を除去し、安定した咬みあわせを確立させ、
咬合性外傷によって増悪した歯周組織の破壊を軽減することを目的とします。
外傷性咬合は歯周病の発症の直接的な原因ではありませんが、歯周病を進行させる重要な増悪因子です。

重度の歯周炎患者においては 1 歯から数歯に限局した咬合調整、歯冠形態修正、暫間固定などで治療効果が認められない場合、広範囲のプロビジョナルレストレーションによる固定や永久固定等を考慮した治療計画の立案が必要となる場合があります。

歯周外科処置

歯周基本治療後、再評価を行い必要に応じて歯周外科処置を行っていきます。

歯周外科手術を行うにあたっては、術前にいくつかの条件を満たしておく必要があります。

患者の全身状態がよいことや患者さんの口腔衛生状態がよいこと、そして喫煙がコントロールされていることです。

歯周外科手術は、その目的により組織付着療法、歯周組織再生療法、切除療法、歯周形成手術の 4 種類に分類されます。
どの歯周外科手術を行うのかは、骨欠損形態、患者さんの口腔衛生状態、歯周組織検査結果、エックス線所見などから総合的に判断します。

歯周外科手術は、一般的に再評価時の歯周ポケットの深さが概ね 4 mm 以上、
歯周ポケット検査時の出血(+)が適応となりますが、
それ以外にも歯肉の形態不良改善のために手術が行われることがあります。

歯周外科手術の術式を選択するにあたっては、骨欠損状態が重要な判断基準となります。

1. 組織付着療法

組織付着療法は、歯根面および歯周ポケットの内部に蓄積した細菌および細菌由来の汚染物質を徹底的に取り除き、
歯肉軟組織が根面に付着するのを促すことを主目的とした手術法です。
組織付着療法では、積極的な骨切除・骨整形術は行わず歯肉弁の根尖側移動も行いません。

主な組織付着療法

フラップ手術:フラップ手術とは、骨膜を含んだ全層弁、
または骨膜を骨面に残した部分層弁を剥離、形成後、明視下でのプラーク、歯石および不良肉芽組織を掻爬し、ポケットの除去もしくは減少を目的とする歯周外科手術になります。

2. 歯周組織再生療法

歯周病により生じた骨欠損は、垂直性、水平性、あるいは複合型の骨欠損に分類されます。
歯周囲の組織再生を期待する場合、垂直性骨欠損で骨壁数が多く、かつ狭い骨欠損ほど再生がより多く認められます。

技術的には組織付着療法より難易度が高くなりますので、多くの症例を経験し、
結果を残している歯周病専門医だからこそ得意とする外科手術になります。

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1 )歯周組織再生誘導法(GTR 法

歯周組織再生誘導法(guided tissue regeneration:GTR 法)は、
吸収性あるいは非吸収性の膜を用いて、歯周組織の治癒過程における歯肉上皮や歯肉結合組織の歯根面への伸展、
接触を防ぎ、歯根面に細胞セメント質を介する結合組織性新付着による歯周組織の再生を見込むものです。

適応症は、2 壁や 3 壁性の垂直性骨欠損、および 1~2 度の根分岐部病変です。
垂直性骨欠損では、欠損幅が狭く深い骨欠損で歯周組織再生の予知性が高く、
また特に根分岐部病変では、病変の部位によって予知性が異なるが、歯や分岐部の解剖学的形態と骨欠損形態に依存、ルートトランクの長い歯において予知性が高いです。

2 )エナメルマトリックスタンパク質(EMD)を応用した手術法

臨床で使用できるエナメルマトリックスタンパク質(EMD)は、
歯周病が進行した歯根面に対し、無細胞セメント質を誘導し、歯周組織を再生させることができます。

EMD を応用した手術に関して、ポケットの深さが 6 mm 以上、エックス線写真上にて深さ 4 mm 以上、幅 2 mm 以上、根面と骨壁の角度が 25 度以下の骨欠損で成績が良好であることが報告されています。

1 壁性や 2 壁性の骨欠損を含め、複雑な骨欠損形態、
また多数歯にわたる骨欠損、歯根の近接、角化歯肉が少ない場合や薄い場合にも適応できます。
最も行われている代表的な再生療法です。

3 )骨移植術

骨欠損部の再生による歯周組織の安定、歯の支持増強による機能性、審美性の確保を目的として行います。
同種他家骨移植や異種骨移植もあるが、
現在のところ、安全性の点から自家骨移植と人工骨移植(ハイドロキシアパタイト,リン酸三カルシウムなど)が多く用いられています。

適応はあらゆる形態の骨欠損や、根分岐部の骨欠損に応用されますが、
移植材を保持する骨壁数が多いほど良好な骨再生が期待できます。

また、骨移植は GTR 膜や、EMD と併用して臨床応用されており、
GTR 膜のみでは血餅を保持することが難しい骨壁数の少ない欠損においては、
骨移植材を併用することで、再生の場を確保することができます。

3. 切除療法

切除療法には、歯肉切除術、歯肉弁根尖側移動術、骨切除術、骨整形術などが含まれます。
切除療法を行うと、手術後に歯肉退縮が生じるので、知覚過敏が生じやすくなります。

主な切除療法:歯肉弁根尖側移動術

歯肉弁を剥離し、軟組織壁を根尖側に移動することを特徴とする。
ポケットの除去と同時に、付着歯肉幅の増加が可能となります。
器具の到達性を主目的にしたフラップ手術と比較して、ポケットの確実な除去を主目的とした歯肉弁根尖側移動術は、
術後の歯肉形態の改善のために同時に骨整形や骨切除を行うことも多いです。

注意点としては、歯肉弁根尖側移動術により歯周ポケットは減少するが、
根露出面積が増えるので、より丁寧に口腔清掃ができるようにする必要があります。

4. 歯周形成手術

歯周形成手術は、審美性を回復させること以外にも、歯周病の進行を抑え、
特に歯肉、歯槽粘膜の形態的安定をはかるために行われる手術です。

主な歯周形成手術 : 歯肉結合組織移植術

歯肉結合組織移植術は、確実な露出根面の被覆、口腔前庭拡張、顎堤増大による審美的改善を目的とし、
広い範囲の歯肉退縮や多数歯にわたる歯根露出部位へ適応します。
受容側における移植片は、骨膜側と上皮側の両面より血液供給を受けるため、
遊離歯肉移植術より生着しやすく、また遊離歯肉移植術に比べて審美性がよい。

歯周外科のみならず歯周病治療の成功において一番大事なポイントは、
セルフケアすなわち患者さん自身のブラッシングが正しく行われているかにかかってきます。
ですので、歯周病治療の開始に際し、 まず患者さんのブラッシング指導を徹底的に行っていきます。

口腔機能回復治療

歯周病患者さんの口腔機能回復治療の必要性は、歯質の欠損、歯の欠損、歯の動揺、
さらに咬合・咀嚼機能や審美性の低下などによって生じます。

この治療は、適切な咬合・咀嚼機能や審美性を回復するだけでなく、
長期的に歯周組織を安定させて機能を維持するために大切であり、
同時に歯周組織の炎症や咬合性外傷を誘発しないように配慮することが重要です。

炎症に対する治療が終了した後に動揺歯の固定をするか否か、
さらに口腔機能回復治療を行う際にどの治療法を選択すればよいのか、歯周病専門医だからこそ、
科学的根拠に基づいたより正確な治療計画を立案することが出来ると思います。

歯周補綴
重度の歯周病の進行により、歯の動揺が起こり、二次性の咬合性外傷を併発し、
そのままでは咬合の安定が得られない状態で、補綴処置による連結固定を必要としている場合に行います。
全顎にわたる連結を必要とする場合もあります。

歯槽骨の吸収が大きく、動揺度が増加し、補綴物により連結しなければ、正常な咀嚼機能が営めない状態に対して、
審美性の回復、歯周環境の改善、安定した咬合、咀嚼機能の回復を図る包括的な治療のことで、
当院で日本歯周病学会認定歯周病専門医および日本補綴歯科学会認定補綴歯科専門医が在籍しておりますので、
歯周補綴という高度な治療を行うことが出来ます。

サポーティブペリオドンタルセラピーおよびメインテナンス

歯周病治療によって健康な歯周組織および口腔内の状態を長期に維持できるようにサポートすることが必須になります。
歯周病は、口腔内の細菌によって起こりますので、
歯周病が治ったとしても細菌のコントロールがうまくいかなければ再発を繰り返してしまいます。

そこで健康な口腔内を維持するために、
歯周病治療後の状態を歯周組織検査、細菌検査、唾液検査、咬合の安定状態などで評価し、
さらに喫煙などの生活習慣、糖尿病などの全身疾患を考慮して行っていきます。

最新の歯周治療を駆使して理想的な口腔内環境を作り上げても患者自身の口腔清掃のみではプラークを完全に除去することは出来ません。そのために歯科医師または歯科衛生士よるサポートが必要不可欠になってきます。

他院から重度の歯周病の患者さんが転院されてきますが、
みなさんほとんどの人が定期的に歯科医院でのメインテナンスを受けていた人達です。

では、なぜ定期的に通っていたのに歯周病は進行するのでしょうか?
それは、まず適切かつ正確な歯周治療を受けず、ただ定期的なクリーニングを受けている人がほとんどです。
それでは、 歯周病の管理は全くできません。
歯周治療を行い、歯周病を治癒または病状安定したあとに定期的なメインテナンスを行う必要があります。

抜歯の判断

当院では、歯周病学会認定歯周病専門医として、 可能な限り歯の保存に努めています。
他院で抜歯と言われた歯でも再生療法等を駆使して抜歯を可能な限り回避します。

しかし、 明らかに保存が不可能な場合は残念ながらやむを得ず抜歯となる場合があります。

やむを得ず抜歯をお勧めする場合の具体例

・歯根の著しい外部吸収が起こっている歯
・過度に動揺し脱臼している歯で意図的再植術が困難な場合
・破折している歯
・歯周病の原因となっている萌出位置異常な親知らず
・周りの骨が大量になく残すことで隣の歯に悪影響を及ぼす原因となっている歯

などです。

抜歯も歯周病治療において重要な治療です。なんでも残せばいいというわけではありません。
5年後10年後を見据えて治療を行う必要がありますので、
残すことによってかえって本来長期的に残る他の歯がダメになってしまう場合もあります。
その判断は、非常に難しく歯周病専門医はこの判断のために多くの経験と勉強をしています。

ですので、逆に抜歯と言われた歯も残すことが出来るかもしれません。

抜歯例

歯根全周にわたり歯槽骨の吸収像を認め、かつ歯根が破折しています。このような症例では抜歯の適応になります。

歯周病専門医による高度な歯周病治療

静岡歯周病治療クリニックは、歯周病専門医(日本歯周病学会)と補綴専門医(日本補綴歯科学会)の両方が在籍する静岡市内唯一の歯科医院で、専門的な治療をおこなっています。歯周病分野については軽度のものから、他医院で抜歯を勧められるような進行した歯周病を再生療法により改善し、歯を保存する治療まで、留学経験のある院長が学んだ世界水準の治療を提供。静岡県内トップクラスの技術と実績があります。